「かつお一本釣り日本一」日南市南郷町

釣り上げたばかりのかつおは一般的な縦じまでなく、横じまが目立つ。 漁開始直後から5キロほどかつおが入れ食い。
一匹でも多く釣り上げようと、船員全員が左舷に並ぶ。
漁は陽が落ちるまで続けられる。




シーズン最初の出港日には、かつお船舶員の家族や友人ら多くの見送り客が集まり、船からは演歌が流れ別れを惜しみます。





1月下旬、全国最大近海かつお一本釣漁船の基地となっている日南市南郷町の漁港は久しぶりの熱気に沸き返ります。
港の主役であるかつお漁師が2ヶ月弱の休養を終えて今期の操業開始するからです。
漁師は海が荒れる始める11月下旬までかつおの群れを負い、沖縄から房総、三陸沖まで大海原を駆け回ります。
漁師がまず漁場とするのが沖縄や鹿児島県屋久島周辺の海域。
日南かつお船の操業海域図

漁獲したかつおはそれぞれの母港に水揚げし、大部分を宮崎市や関東、関西間にトラックで陸送します。
この期間は水場後に帰宅できることが多いのですが、5月からは家族に別れをつげて北上。
6月までは勝浦港(千葉県)を拠点に房総海域で11月までは気仙沼港(宮城県)を拠点に三陸沖海域で操業します。

「西沖操業」と呼ばれる一部の船は房総海域に向かわず、長崎県沖合のことを海域を漁場とします。
12・11月は休養期間ですが、船の整備などを行うためゆっくりできる期間は限られています。
大海原を回遊するカツオを追い掛けるかつお漁師にとって漁場探索は最優先事項です。見つけたカツオの群れに生きたカタクチイワシを投入し、「シャモ」と呼ばれる疑似餌を使ってカツオを釣り上げます。

漁場で生きたカタクチイワシを船に積み込みます。
かつお一本釣りの生命線とも言われるカタクチイワシ。その活きの良さや大きさなどが漁獲量を大きく左右します。

ベテランかつお漁師(右)から疑似餌の作り方を習う乗船1年目の漁師。経験豊富な先輩からの助言は厳しくも温かい。 一本釣りに使用するシャモ。





帰港したら船員総出で水場します。魚倉から一匹一匹を手渡しするため、
釣った魚の量により 2〜10時間ほどかかります。水場後は燃油や食材の補給を行い、
そのまま次の航海出港することが多いのです。


日南市南郷町での水揚げ
(陸送出荷)


南郷町内でのかつおの水揚げは、主に2〜5月に行われます。
水揚げしたかつおを手際よく箱詰めし、宮崎市中央卸市場のほか、関西など取引価格の高い全国の市場にトラックで輸送します。

鮮度が落ちやすいカツオはできるだけ早く水場げしなければなりません。
水場げには漁協の出荷担当者が立ち会い、資材発注やトラックの手配などもサポートします。
千葉県勝浦市・宮城県気仙沼市での水場げ
(直接水場げ)


南郷町内のかつお一本釣り漁船の約8割は、6〜7月頃にかけてビンナガ(トンボ)を釣るため北上し、漁場に近い千葉県勝浦市の市場に水揚げします。また、7〜11月頃にかけてはかつおを追って三陸沖に漁場を移し、漁場近い宮城県気仙沼市の市場に水揚げを行います。南郷との水場げの違いは、水揚げした市場でのセリが行われるので、漁業者が箱詰めを行わないことです。


千葉県・勝浦港でかつお船からマグロ類を水揚げします。一本釣りではかつおだけでなく、マグロやシイラなども狙います。 東日本大震災後、全国で初めて宮城県・気仙沼港に入った日南市の一本釣り船「第二十八一丸」から水揚げされたかつお。(2011年7月)




1年の操業を終え母港となる南郷町の漁港に帰港して
漁具などを片付けます。
シーズン終了後、ドックで整備、点検を受けるかつお船。
船底などもきれいに塗り替えられて新年を迎えます。





水場を手伝うエキスパート「箱屋」、好漁場を開拓する宮崎県の
漁業調査船「みやざき丸」など、たくさんの人たちがかつお漁に関わっています。






宮崎県日南市 南郷町商工会
〒889-3207 宮崎県日南市南郷町東町14-11 【TEL】0987-64-1125 【FAX】0987-64-0631